小国町ではブナの森 温身平の森林効果を検証するため、平成17年7月26日〜29日、独立行政法人森林総合研究所の協力により12名の被験者を対象として実証実験を行いました。その結果、以下のような結果が確認されました。
グラフの拡大
唾液中に含まれるコルチゾール(ストレスによって発散されるホルモンの一種)の濃度を測定した結果、温身平では全体的に都市より低く推移し、特に歩行前後や座観後において有意に低くなることが明らかになりました。
このことから、温身平では都市に比べてストレスが低下することが実証されました。
グラフの拡大
心拍変動性のうち高周波領域成分(HF)は、リラックス時に働く副交感神経活動の指標になるとされ、副交感神経活動が活発なほどHFが強くなるとされています。このHFの変化を測定した結果、温身平では全体的に都市より高い傾向にあり、特に座観中において有意に高くなることが明らかになりました。したがって温身平では都市に比べて副交感神経が活性化しリラックスすることが実証されました。
グラフの拡大
一時的な気分や感情を「緊張 - 不安」「抑うつ - 落込み」「怒り−敵意」「混乱」「疲労」「活気」の6つの成分に分解して測定する気分プロフィール検査(POMS)を実施したところ、温身平では歩行後に「緊張 - 不安」「混乱」「疲労」が都市より低くなり、「活気」が都市より高くなることが明らかになりました。
グラフの拡大
植物が発散する芳香性揮発物質であるフィトンチッドは、いわゆる「森の香り」の成分として知られており、人の副交感神経に作用してリラックス効果を与えてくれます。このフィトンチッドの量を測定したところ、温身平では主としてイソプレン、アルファ・ピネン、テルピネン、リモネンなどが検出され、特にリラックス効果があるとされるアルファ・ピネン、リモネンについては、広葉樹の森としては比較的多く検出されました。これは、温身平がカエデ類の多い森であることに起因するものと推察されます。